ヒーリング・オーシャン(癒しの海)

srblog20140818f

今日、3月11日は日本人にとって忘れてはならない日。

いまだ日常生活を再開できない方々も多く、

被災地域も復興に向けて模索している場所もある。

あの震災の揺れは今でもはっきりと思い出せる。

自然の脅威を目の当たりにし、為す術(すべ)無き思いに駆られた日。

同時に人々の心を一致団結させて、一つの方向に向かう強さを知った日。

あの日から多くの学びを得た気がする。

生きることとは?

死ぬこととは?

自然と共存する生き方とは?

海と人とのつながりは?

原発は本当に必要なのか?

自然と人の未来とは?

 

海の恐ろしさを知ったあの日から4年、

俺を含め、多くの友人は変わらずに海に向かっている。

人間が海から与えられる生気に触れたくて。

波乗りという行為を通して海のパワーに触れたくて。

srblog20140818

波乗りで生気を養うサーファーたち。

海から与えられる生気は、

カラダだけでなくココロまで活力を養われる。

サンディエゴ出身のある一流アメフト選手の話をひとつ・・・。

体をぶつけ合うアメフト選手にとって、

怪我や疲労はつねに悩みのタネで、

他のスポーツと比べても選手生活は短い。

地元サンディエゴのヒーローであるにもかかわらず、

まだスーパーボウル優勝の経験がない彼は、

37歳にして体力の限界を感じ、引退を考えていた。

そんな時期にサーフィンと出会い、

その肉体は再び若さを取り戻し、

たたかう意欲を蘇らせたという。

アメフトのように自分から仕掛けるスポーツと違い、

サーフィンは乗るべき波を待たなければいけないもの。

攻撃ではなく、協調することが大切。

「そこには自分と自然だけしか存在しない。

オレはボードに股がり海に出たとき、

自然と接していることを生まれてはじめて実感した。

海から上がると、オレは誰かれとなくハグしたくなる。

自然にそんな気持ちになれるんだ。

とても穏やかで、安らかな気持ちが生まれる」

海で生気を養った彼は、

一度は引退まで考えたにもかかわらず、

チームキャプテンとして臨んだ翌シーズンに、

抜群の団結力を持ったチームを作り上げ、

16戦全勝という快挙でスーパーボウル出場を果たしたのだ。

srblog20140818a

グラミー賞受賞アーティストのジェイソン・ムラーズ。

昔はタバコも吸っていたし、ジャンクフードも食べ、

ビールもすごく飲んで、とてもロックンロールな生活を送っていたんだ。

でも、10年前にサーフィンを始めてから、

それまでの生活の仕方がなんだか変に感じて、

もっと自分をいたわるようになった。

そうしたら活力的にも感情的にも身体がどんどん変わりだして、

調子もすごく良くなった。もう昔には戻れないね。

聞いた人みんなが気持ち良くなるような音楽を作りたい。

そう考えるようになったのも、

オーガニックな生活をするようになってからなんだ」

海上がりに聞く彼の曲は、

まるでまだ波に乗っているかのような気分になり、

ほんとうに気持ちよくなるナンバーが多い。

特に大ヒット曲の「I’m Yours」は最高!!

srblog20140818b

こころの病気を患ったあとに、

すべての生活をリセットして海に通うことで、

少しずつ自分を取り戻した友人もいる。

もちろん自分もその中の一人。

骨髄移植をする前と今ではサーフィンに対する思いが大きく変化した。

一度は諦めかけた波乗りへの気持ち。

ただ挑戦することや楽しむことだけではなく、

海にある癒しやパワーに目を向けられるようになった。

それからは「マイペース」を大事にしている。

また俯瞰的に海をみる視点をもつことで、

波がない日でも楽しめるようになった。

実際にちょっと海に浸かるだけでも、

カラダやココロがすっきりとリセットされた気分になる。

srblog20140818d

なぜ人間は海に癒しを求め、生気を養うことができるのだろうか? 

もちろんサーフィンが楽しいということもあるが、

それだけじゃない海の力のようなものを感じるときがある。

「生命は海から誕生した」ということだけでなく、

母なる海がもつ包容力や、

海という自然のなかで過ごす時間、

そのなかで何かを得ているのだと思う。

srblog20140818e

おそらくそのワケは、

「自然」と「自分」以外の何ものにも依存しない、

独立した時間を過ごせるからかもしれない。

サーフィンは他の競技スポーツのように、

相手がいなければ成り立たないものではなく、

たった一人でも最高の楽しみを味わうことができる。

逆にいえば、

この感覚はサーフィン以外では味わえないもの。

自然、そして自分と向き合う時、

この時間こそがサーフィンの至高であり、

海が人間に生気を与える瞬間なのだ。

ヒーリング・オーシャン。

広き雄大な海には、人智をはるかに超えたパワーがある。

 

jypblog20150311a

あの震災から4年。

この4年は仕事でもプライベートでも後悔のない生き方を模索してきた。

もし何かに興味があるなら、たとえ何歳でも新しい扉を開けてほしい。

きっとそこには人生を変えるすばらしい精神性があるはずだ。

そして海への扉はいつも開かれている。