SHUTTER CYCLE DIARIES Jun Yazawa Photograpy

Monthly Archives: 11月 2016

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バーベキューは喜びを2倍にし、悲しみを半分にする。

「友情は喜びを2倍にし、悲しみを半分にする」

これはドイツの思想家、シラーの言葉。

この言葉は、中学か高校の生徒手帳の片隅にのっていた名言。

生徒手帳には枠外に歴史人の名言がのっていて、授業中のヒマなときは、それを読むのが日課だった。

もうひとつ覚えているのは「天には星、地には花、人には愛」という武者小路実篤の言葉。

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さて先日、

学生時代の友人を招いてバーベキューを開催した。

これは数年に一度の恒例行事になっているが、

東京や新潟など遠方から栃木へと来てくれた友人に、我が家流のバーベキューを振舞うというもの。

大学時代をともにした仲間だが、なかなか全員が集まることができない。

しかし、この仲間は言葉や時間を超えたつながりがある気がしている。

ぼくが白血病を患ったときに、まるで自分のことのように悲しみ、そして助けてくれた仲間たちだ。

骨髄移植を受ける前には、募金集めの一環として、

病状を報告するブログを立ち上げてくれたり、写真展を開催するために奔走してくれたり、

本当に感謝しきれないほどに助けてくれた友人たち。

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今はそれぞれが父になり、母になり、ある友は経営者として、それぞれの道で活躍する仲間たち。

病気を経験してわかったことは、友人のありがたさ。

本当の意味での人間の優しさを知る機会に恵まれたのだ。

「見返りを求めない心」こそが本当の優しさなのだと思う。

ぼくは結婚式を挙げていないが(闘病時期が長かったので式を挙げないことにした)、

この友人たちはサプライズで、ある場所を貸し切って自前の結婚式まであげてくれたのだ。

さすがにこれは驚きとともに涙なみだのサプライズだった。

(このときも栃木にある温泉施設のバーベキュースポットだった。笑)

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今思えば白血病の闘病中はほんとうに多くの人に助けられた。

撃鉄を食らったようなショックのなか、

家族をはじめ、アメリカの入院生活を支えてくれた友人たち、

移植までの道のりをたくさんの友人たちに助けられてきた。

一人では受け止められないような悲しみは、

支えてくれた人たちのおかげでどんどん希釈(きしゃく)していった。

いつしか悲しみが勇気に変わり、

骨髄移植という重い治療を乗り越えるパワーになった。

その感謝の気持ちが今の自分を作っているのだと感じる。

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そしてこの仲間たちには、感謝の思いを一生、、、

人の一生なんてとても短いものかもしれないけど、一生忘れることはない。

ぼくらも父になり、母になり、自分では気づかないうちに歳を取っていく。

いつか子どもが大きくなったときに、ぼくが友人から教えてもらった「本当の優しさ」を伝えてあげようと思う。

友情は喜びを2倍にし、そして悲しみを半分にしてくれることを・・・。

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YAZAWA、感謝の気持ち忘れません。

 

 

心の目を持って物事に向きあうこと

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- 君子の九思 -

(人として心がけるべき9つの心得)

 

孔子いわく、君子には九つの心得がある。

1、視るには明を思い

(物を見るときには、はっきり見ること)

2、聴くには聡を思い

(聞くときには、誤りなくしっかり聞くこと)

3、色には温を思い

(表情を穏やかに保つこと)

4、貌(かたち)には恭を思い

(上品な態度でいること)

5、言には忠を思い

(心を込めて発言すること)

6、事には敬を思い

(仕事は慎重におこなうこと)

7、疑わしきには問いを思い

(疑問があったら、質問すること)

8、忿(いかり)には難を思い

(見境なく怒らないこと)

9、得るを見ては義を思う

(道義に反して利益を追わないこと)

 

ワタシが写真を撮るときに心がける「プラス1」のこと…、

10、心の目を持って物事に向きあうこと

(見た目の良さだけで判断せず、その先にある物語や背景までしっかり考えること)

 

 

鷹揚に笑う女と大鹿に追われた男。

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カリフォルニアに居住していたころに、時間を作ってはアメリカの自然保護区を旅していた。

アメリカには雄大な自然があふれているが、もはや人間の手で守らなければ、無垢な状態を保てない場所も多い。

そういった守るべき自然を保護区として国立公園化している。

保護するべき自然と保護のための資金。

観光からの資金と環境保全を両立させたアイデアが国立公園なのだろう。

そのアイデアの源となった場所、それがこの写真にあるイエローストーンなのです。

世界で初めての国立公園となった場所。

そこは冬は豪雪、地下には世界最大級のマグマがあり、野生動物があふれる神秘なるパワースポット。

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上記の写真は、草が生い茂る川原にふと現れたエルク(大鹿)。

立派な角に雄々しさが宿ったその姿に見とれ、そこには数人のフォトグラファーと観光客がいた。

とっさにカメラを構えたぼくに、隣にいたおばさんフォトグラファーが話しかけてくれた。

「ちょうど良い時に来たわね。

運が良ければ交尾の瞬間が撮れるかもしれないわ。

あなたの望遠じゃ距離があるから大変でしょう。

この三脚は予備のカメラ用だから使いなさい」

そういって余っていた三脚を貸してくれた。

その間にも観光客たちがどんどん集まってきて、ギャラリーはあっという間に総勢30人ほどに増ていく。

結局、雄鹿と雌鹿は一定の距離を保ちながら、結ばれることなく森の中に消えていった。

おばさんフォトグラファーは、

「恥ずかしかったのかしら。

野生動物の撮影は長い時間が必要なの。

今回はおあずけね」

と笑っていた。

今考えてみれば、助手も連れていたおばさんは、きっと動物専門のカメラマンだったのだろう。

その鷹揚な笑顔は、裏をかえせば動物撮影の厳しさを物語っていた。

カメラを閉まって帰路につく間、ぼくはその日起こったことに考えを巡らせていた。

「この鹿のカップルがことを成したとき、果たしてぼくは感動したのだろうか?」

きっと自分が望むのは、多くの観光客が見守る中で行われた交尾でなく、

人知れずおこなわれる野生の営みのように、想像に満ちた世界のほうではないか、と。

 

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実はこの日の前夜、湖に沈む夕陽を撮影していた時のことだ。

辺りはもう真っ暗になり、駐車場まで1キロほどつづく木道を歩いていた。

もはや観光客はひとりもおらず、その静かな時を楽しんでいた。

そのとき数メートルの闇から怪しい二つの光が動いた。

ぼくはすべての身の毛が逆立った。

その小さな二つの光は、まさしく動物の目の光だったのだ。

まさかクマか!?

暗い闇の中をわずかに動く光。

暗闇に目をこらすと、それはエルクだった。

互いに見つめ合う刹那な時、

こちらをうかがうように姿をあらわしたエルク。

ほっとしたのも束の間、

エルクはこちらに向かってくるではないか!

その距離、数メートル。

間には木道の手すりひとつ。

「ブルルッ」と大きな息を吐き出し、一歩ずつにじり寄る。

威嚇のつもりで、三脚を高々と上げて「ヘイッ」と大声を上げる。

その威嚇に、エルクは完全な戦闘モードに入ってしまった。

荒ぶるエルク。

ひとまず目をそらし、「ハイ、サヨナラ」と素通りしようとしてみる。

エルクが手すりを飛び越えんばかりに向かってきた。

幸いにも木道の手すりは、エルクの足の高さを超えている。

四足のエルクには、その手すりを踏み入ってくることはできなそうだ。

そのまま走って逃げようとしたが、木道の数メートル先には手すりのないエリアが・・・。

そこを走り抜けられるのか?

それとも間欠泉に突き落とされるのか?

駐車場までは300メートルほどの距離。

きっといける!

ちょっと走るそぶりを見せてみる。

ブルルと向きを変え、先回りするようにぼくの行く手に向かうエルク。

こちらが立ち止まると、エルクも動きを止める。

もう一度やってみると、さらにエルクは近寄ってきた。

ダッシュで逃げるしかないが、はたして逃げ切れるのか?

いや、無理だ。

手すりのないエリアが怖すぎる。

奈良の鹿にどつかれたことはあっても、こんな大鹿にどつかれたらただじゃ済まない。

熱湯の間欠泉に落とされて、ハイ サヨナラもあり得る。

一旦、冷静になって考えてみる。

ぼくの命綱は、もはや木道の手すりのみ。

来た方向に目をやると、幸いにも木道の手すりが続いている。

駐車場までは遠くなるが、来た道から逃げるしかなさそうだ。

ひたすら逃げると覚悟を決めて、ぼくは木々が生い茂る反対方向に走り出した。

手すり越しに追ってきたエルク。

もはや振り向かず逃げるのみ。

後ろを見ずにひたすら走る。

木々が生い茂るエリアを抜けた。

走ること数100メートル、撮影していた湖の前に出た。

そこで初めて後ろを振り返る。

エルク、いない。

木々や間欠泉が障壁となって、エルクも追うのを諦めたようだ。

なんとか難事を逃れることができた。

木道の手すりがなければ本当に危なかったと思う。

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その日に撮影していた夕景がこちら。

夕焼けの美しい色彩に時間を忘れて撮影していた。

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そしてこちらが、ぼくを救ってくれた木道(笑)

人には踏み入れられない自然の世界。

自然界に一歩足を踏み込めば、未知なることだらけだと壮大なイエローストーンが教えてくれた。

予想外の台風進路や地震など、神秘に満ちた自然の世界は日々の生活にも溢れている。

自然と歩調を合わせて、ぼくらもまたまっすぐに生きることで、少しずつ理解を深めていけるはず。

“ワイルドライフへの憧れを抱いて生きる楽しさ”を享受しつつ・・・。